アランのフアッション今日は作品の紹介はお休みしてアラン.ドロンデビューして間もない頃の初期、 1960年代のフアッションについて ちょっと触れてみたいと思います. その前に男優全体にどういった傾向があったか... ケネデイ元大統領や.アンソニー.パーキンスに代表される アイビーフアッションが主流となる一方で ヨーロッパフアッションは健在。 洋服、帽子、靴、ベルト、ネクタイ、ジュエリー、 ライター、時計、メガネ、万年筆などなど。。。 今ではブランド商品として 日本でも定着してしまったが、その頃は映画の中に見る 彼らが身に付けた高価なフアッションというイメージであった。 洋服に関して言えばそれまでの洋服屋さん、 仕立て屋さんというものではなくなり、 芸術家と言われるようなデザイナーたちが 台頭してきた頃なのです。 デイオール亡き後のピエール.カルダンが台頭してきたのも この頃。 まず、メンズ服のトップはテッド.ラピュドスでしたね。 映画スターや歌手の多くを顧客に持つパリで一番のお店でした。 シャルル.アズナブール、ジャン.クロード.ブリアリは ここを仕事場にしていたほどの大顧客でしたし、 女優でもデートリッヒ、バルドー、 カルデイナーレなどがメンズっぽいスーツを ここで作っていました。 もう、日本の百貨店ともタイアップし始めた頃だと思います。 帽子..イタリアのボルサリーノ... そう映画のボルサリーノは あのお帽子...ボルサリーノ商会というトラックの看板は ご愛嬌ですね。 イギリスのクリステイ、アメリカのノックスあたりかな。 靴はもうイタリアのマレリー、イギリスのチャーチ、 スイスのバリーあたりが主流だったと思います。 今はもう買おうと思えば日本人は誰でも買える..というより 日常的になっている。 ドロンが身に付けたパリのフアッション。 車に代表されるようにフランス人はプチ.ブル的趣味で、 一般のフランス人の服装に関する考え方には 例えばイギリス人のような 厳しさがない。 一応いいものは着ているが、 自分はこれを着るんだと言う信念みたいなものはないようでした。 彼らの典型的なスタイルは、 例えば黒いポロシャツにグレ-のスーツ、 或いはツイードの上着を着て、 胸のポケットに色物のチーフを入れている男なんてえのが 目に浮かびます。 皮のジャケットでも半オーバーでも ちょっと襟を立てて、小粋に、無難に着ている。 無難は誰にでもうつる。 だけどどこか違う...いなせですよね。 アイビーも良かったが、 なんと言ってもヨーロッパの服装は 例えどんなにくつろいだものでも 本格的であり、大人の世界でありました。 今はどんな格好が素敵だなどと、 決め付けられない多種多様なフアッションとなりましたが。 例え、ビートルズがニューフアッションで登場しても、 やはりパリフアッションの粋さにはかないません。 ただし、日本の若者がおしゃれに関心を持ったのは、 言わずと知れたアンソニー.パーキンスが身に付けた アイビールックです。 が、これはもう、パーキンス的ニュアンスとまで言われて その辺の男の子が真似たアイビーとは一線を置いたものでした。 マックイーンのジーンズルック。 このあたりは真似できる。 ショーン.コネリー、ジーン.バリーや、 ジョージ.ペパードのタキシード姿は逸品だし。。 ここいらになるとちょっと真似できない・ ジャン.ギャバンなんか 何を着たってもうどうしようもないほどに良い。 さてさて、限がないので、ドロン様フアッションに。 ドロン様。。。 なんたってワイシャツ姿。 世の中であれだけ上手にワイシャツを スポーテイーに着こなす俳優は居なかったし、出てこない。 ワイシャツを着る姿も格好良い。 それとサングラス。これはもうあの顔だから似合う。 それもボックス型の黒の、セルロイド風フレームが似合ってた。 他の男優がかけると”芸能人”って感じ。 ドロンはさしずめパリの下町のいなせなオアにイさんといった おしゃれですね。 血統ただしき上流階級のボンボンといった感じではありません。 あの端正な顔に秘められた一抹のかげりと バイタリテイは彼の魅力の 最もたるところ。 惨めな生活から浮かび上がるために 生来の美貌を唯一の武器にして あらゆる手段で上流階級に乗り込んでいく ...なんていうのが1960年代のドロンの、 最も彼らしい役柄でした。 ラフなおしゃれのときの彼のスタイルが、 なんとなくいなせでやくざっぽく、 きちんとドレスアップすればするほど どことなく近寄りがたい鋭さを、感じさせるのは、 そんな彼の持ち味からきていると思います。 1960年代。。。 ツイードやヘリンボーンのグレーのジャケットは、 一つボタンで、丈は短かめ、 ワイド.スプレッドの」ドレスシャツ, 黒のパンツにと、 粋なコンチネンタル・ 黒の細めのネクタイはちょっとゆるめに結び、 ラフな感じを出す. こんな彼のフアッションが好きでしたね。 もちろんシャツは真っ白。 上着がサイドベンツよりもセンターベンツが似合った。 地下室のメロデイーに見る黒のタキシード姿も良かった。 シシリアンに見る黒のスーツ姿も良かった。 ネクタイは細めで結び目は 小さくきゅっとと言うのが主流の時代でしたが。 それをあえてゆるめに... それとヘビースモーカーで、 映画でも本当にいつもくわえタバコが多いひと。 だからそのスタイルも自然と格好いい。 アランはよくベルモンドととかく比較されがちだが、 私たちはむしろ当時、パーキンスと比較していました。 これは俳優ということではなくて どちらが格好いいかって基準で。 マザーコンプレックス的フアッション..パーキンス。 この頃はどちらも年上の女性がお気に召していたようですね。 ドロンの方は計算づくで、 しかも年上の女性を狙うといった表現がぴったりかな。 パーキンスは心底女性に甘えて,惚れ切る。 それがフアッションにも出ていると言うことです。 そのころ、あんなに日本で人気が爆発したのに、 批評家や映画人の評価は良くない。 あのやくざっぽさがパリジャンの魅力ってことに まだ気付かない低レベルの人たちが多かった。 その後の彼を見れば血統の品性ではなく 生き様の品性が備わってきた。。 今、あの人たちはどう思って見ているのだろうか。。? 聞いてみたいな。 1970年代、1980年代、1990年代と フアッションは変わっていっても ダンデイーでスマートな(いなせはどこかに遺したまま) ドロンは健在です。 |